里の守り神、
ガジュマルと出会う旅

ようやく心地の良い季節になり、屋久島への旅行を考えていると、相談にきてくださる方も増えてきました。 

この季節の屋久島は、もちろん山登りも良いですが、里めぐりもおすすめです。海と山の間に広がる集落には、人の暮らしとともに息づいてきた風景が残されています。

中でも、ぜひ会いに行っていただきたい、里の守り神のような存在の木があります。それが、ガジュマルです。ガジュマルはイチジクの仲間で、熱帯地方に多く見られる植物です。屋久島や種子島がその自生の北限とされ、島の自然の多様さを感じさせてくれます。 

0520_中間ガジュマル
<NHK朝ドラ「まんてん」のロケ地としても有名な、中間ガジュマル>

ガジュマルという名前の由来には諸説ありますが、屋久島などでは古くから防風林として利用されてきたことから、「風を守る木」を意味する言葉に由来するともいわれています。強い海風から人々の暮らしを守ってきた歴史が、その名にも残されているのかもしれません。 

沖縄では、ガジュマルには“キジムナー”という精霊が宿るともいわれていますが、ここ屋久島でもまた、“神聖な木”として大切にされてきました。はっきりとした姿かたちを持つ存在ではないものの、その前に立つと、言葉にできない“気配”のようなものを感じる方もいるかもしれません。 

0520_ガジュマルの群生
<静かな森の中に突如現れる、ガジュマルの群生>

0520_幸福の木
<神秘的な生命力を感じる「幸福の木」>

幹や枝から幾重にも垂れ下がる気根は、やがて地面に根を張り、新たな幹となって広がっていきます。長い年月をかけて土地に根付き、風を受け止め、人の暮らしを見守ってきたことが伝わってきます。 

実際に、島内には個性豊かなガジュマルに出会える場所がいくつかあります。たとえば志戸子ガジュマル公園では、亜熱帯の空気を感じさせる木々が生い茂り、遊歩道を歩きながらその独特な姿を間近に見ることができます。また、集落の中にたたずむ中間のガジュマルは、幹の一部がトンネルのようになっており、昔から人々に親しまれてきました。さらに森の中に突如現れる猿川ガジュマルは、より野生的で力強い姿。その存在感に圧倒されます。 

同じガジュマルであっても、その表情は場所によってさまざまです。整えられた公園の中で出会うもの、暮らしのすぐそばにあるもの、そして森の奥で静かに息づくもの。ゆっくりとした時間の中でガジュマルに向き合うとき、屋久島という土地の奥深さに、そっと触れることができるかもしれません。 

屋久島の旅というと、どうしても山へ意識が向きがちですが、里をめぐることで見えてくる風景もまた、この島の大きな魅力です。 


 
屋久島コラム三島さん画像

三島佳奈

松江市浜乃木のライフスタイルショッブ「志庵」オーナー。「心と体に佳いものを」をコンセプトに、2年間暮らした屋久島の食品や工芸品などのほか、日々の暮らしに寄り添う洋服と雑貨を扱う。
●ホームページ:こちらから



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