りびえーる本紙でも大きな反響をいただいている子育て応援企画「教えて!青山せんせい」のWEB版。
就学前から10代後半までの子どもたちを持つ親&祖父母へ向けて、毎回さまざまなテーマをお届け。どの世代へ向けたお話も、どこかで必ずあなたのお子さん・お孫さんにつながるのが不思議です。
子どもも親も祖父母も幸せになる…子育てを楽しんじゃうヒントを、この連載で見つけてください!

教えて!青山せんせい 1学期開始!子どもの“次の一歩”を支える親の境界線 5月編

5月も半ばになり、いよいよ学業が本格スタートしているころです。
連休明けをスムーズにスタートできた子がいる一方、少し学校に行きにくい様子が見える子もいるのではないでしょうか。

今回は4月編に続き、新年度の頑張りがひと段落する5月のこの時期に、大人が持っていたい「境界線」について聞きます。


それでは今回も…教えて!青山せんせい!

連休明けの本格始動 「学校に行きにくい」様子が見えたら…

大型連休、楽しく過ごせましたか?
全部をちゃんとさせなくてもいいので、「子どもを追い立てる時間ではなく、整え直す時間に」とお話しましたが、お子さんの様子はいかがでしょうか。

もし学校に行きにくい様子が見られたら、まずは4月編でお話した内容をもう一度おさらいしてください。
そのうえで今回は、1学期が本格始動している5月ごろに心がけたい「境界線」についてお話しします。

 

★感情は受け止める。行動は少しずつ整える

「行きたくない」
「しんどい」
「無理」
「怖い」
「疲れた」

子どものこうした感情は、まず受け止めていいのです。

否定しない。
責めない。
説得しすぎない。

感情は、その子の今の現実だからです。

でも一方で、その感情を理由にして、生活リズムも、学びも、人とのつながりも全部なくしてしまうと、そこから戻ることがますます大変になります。
だから必要なのは、感情は全受容しながら、行動は小さく整えていくことです。

たとえば、

・教室は無理でも、保健室まで行ってみる
・登校はしないけれど、プリントを1枚だけ見てみる
・勉強はしないけれど、朝起きたら着替える
・外出はしないけれど、カーテンを開けて朝の光を浴びる
・学校には行かないけれど、担任の先生への返事だけは一緒に考える
・部屋から出られない日でも、食卓に5分だけ座ってみる
 
大事なのは、「普通に戻す」ことではありません。
今のその子でもできる最小限の一歩を見つけることです。

親が引くべき境界線は、ここにあります。

5月

「しんどいのはわかった」
「今は無理なのもわかった」
「でも、全部を止めてしまうのではなく、この一個だけは一緒にやってみよう」

この関わりは、厳しさではありません。
追い込むことでもありません。
止まりかけた毎日を、安心の中で少しずつ動かしていくための支えです。

無理をさせない。
でも、止まりっぱなしにもさせない。

この両方を持つことが、親の大事な役割なのだと思います。

 

 

★「慣れさせる」ことを急がない

親が焦るのは自然なことです。
特に連休前はこう思いやすくなったりしませんでしたか?

「休みに入ったら、もっと崩れるかもしれない」
「今のうちに少しでも慣れさせないと」
「ここで緩めすぎたら、休み明けが大変になるかもしれない」

確かに、その心配もわかります。
でも「慣れさせる」ことを急ぎすぎると、かえって逆効果になることがあります。

なぜなら、慣れるというのは、ただ継続して刺激を増やせばいいというものではないからです。
安心がある中で、圧倒されない程度の小さな刺激に触れ、それを繰り返すことで少しずつ可能になるものです。

慣れは“根性”ではなく、“心にとっての安心”の上で育つもの。
ですから、「今すぐ普通に戻す」ことを目指すのではなく、「この子がつぶれずに続けられるサイズはどこか」を探ること。

その視点を持てると、親の関わり方は大きく変わります。

 

★親の境界線とは、「受容」と「前進」を対立させないこと

この時期、親は両極端に揺れやすいです。

かわいそうだから「休みたいといったら」全部休ませたい。
でも、このままでは困るから何とか動かしたい。

でも、本当に必要なのは、その真ん中です。

子どものしんどさは尊重する。
でも、しんどさを理由に、生活も学びも社会との接点も全部なくさない。

この線を、大人が持っておくことです。

子どもに必要なのは、「何もしなくていいよ」と放り出されることでも、「頑張りなさい」と急かされることでもありません。

「あなたのしんどさはわかっているよ」
「でも、あなたが戻っていける道も、一緒に探していこう」

そういう関わりです。

受け入れることと、前に進むことは、本来、対立しません。
本当の意味での受容とは、その子の今を見誤らず、その子に合った次の一歩を一緒に作っていくことなのだと思います。

 

春は親も子も疲れがたまりやすい時期です。
だからこそ、目の前の姿に一喜一憂して振り回されるだけでなく、少し長い目で見てあげてほしいのです。
大切なのは、「どうしたら行かせられるか」だけではありません。

今この子は、どこまでなら動けるのか。
何を減らし、何を残すのか。
何ならできそうか。
その一歩は、この子にとって大きすぎないか。

その視点で関わることが、子どもを守りながら、次につなげる支えになります。

親の役割は、子どもを無理に引っ張ることではありません。
その子が越えられる高さの段差を、そっと用意し応援することです。

受け入れるだけで終わらせない。
でも、追い立てない。

その間にある、愛のある境界線を持ちながら、この時期を親子でなんとか越えていけたらいいですね。

 


青山さん写真

「しあわせなおかあさん塾」青山節美さん(松江市)

親学ファシリテーターとして4,000人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講、講座動員数は現在延べ1万人以上。

 登録者数4.5万人(2026年4月末現在)を数えるYouTubeチャンネルでも迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。