創る◇◆◇木工芸家 藤山 嗣文さん【米子市】
2026.07.21
多彩な木片を
緻密に組み合わせて
とっとりの手仕事展で思わず見入った寄木細工。手がけたのは家業の建具のみならず、組子細工や寄木細工の箱ものなど、木工芸品も制作する藤山嗣文さん。

米子工芸会のメンバーで、全国建具展示会でも衝立(ついたて)やモザイクテーブルなどを出品し、数々の受賞歴を誇る。伝統の技を生かしながら、藤山さんならではの遊び心ものぞかせた作品に心躍る。

「父が建具を始めて57年」の藤山建具。藤山さんは鳥取県内の家具店に勤務していたが、36歳のとき家業を手伝うことになり、父の技を間近に見ながら本格的に建具を学び、並行して家具づくりにも取り組んでいた。



寄木細工との出合いは2008年。一本の木のなかでも、建具材として使える部分は決まっていて、その限られた木材を無駄なく使いたいが、どうしても端材は出る。なんとかならないかと考えていたころだった。「いろいろな木材があったので、使えそうだ、やってみようと始めた」




細かな一片のほんの少しのズレが大きなズレにつながるため、緻密さに気を付けるが、「特に曲線を合わせるのが大変」と細心の注意を払う。
色柄を優先させると木の硬さなど、性質の違いがネックとなり、同じ木では色の変化に乏しくなるため、両方を調整しつついかに納得のいく仕上がりにするかが腕の見せどころ。


作品展では、「建具のことや木の良さ、いろいろな色の木があること、こんなこともできるということなどを一般のお客さんに知ってもらうきっかけにもなる」と来場者との会話を楽しむ藤山さん。時に思いもよらない発言もあり、驚きながらもそんな声に応えて試行錯誤を重ね、形にすることもやりがいがある。14年の全国建具展示会で農林水産大臣賞を受賞した衝立は、「お客さんが、絵が変わると面白いよねと言われたことがきっかけで生まれた」。



自身でも「こんなものをつくりたいと思い付いてしまったら、何度試作を重ねることになっても完成するまでやめられない」と笑う。

建具の仕事を始めたころは、「形になっていればいいのでは」と思うこともあったが、今は、形にはなっていても「どこと言葉にはできない感覚的なものだが、気になるところが出てきて、もっとより良いものを目指したい」と話す。


今後は、「寄木細工を取り入れた建具ができればと思う」と藤山さん。寄木の建具という新機軸へのチャレンジなど、これからも進化を続ける。



プロフィール

ふじやま・つぐふみ
1964年生まれ。
鳥取県内の家具店勤務を経て、36歳で家業の建具の道へ。2008年から寄木細工も手がける。14年第48回全国建具展示会に出品した衝立で農林水産大臣賞、第50回同展示会では伊勢市長賞を受賞。このほか、受賞多数。
問い合わせは藤山建具(電話:0859-33-1137)へ。
26年11月14~18日の米子工芸会展(米子市美術館)に出品。