教えて!青山せんせい 「何もしない」を遊ぼう! 編
2025.10.30
りびえーる本紙でも大きな反響をいただいている子育て応援企画「教えて!青山せんせい」のWEB版。
就学前から10代後半までの子どもたちを持つ親&祖父母へ向けて、毎回さまざまなテーマをお届け。どの世代へ向けたお話も、どこかで必ずあなたのお子さん・お孫さんにつながるのが不思議です。
子どもも親も祖父母も幸せになる…子育てを楽しんじゃうヒントを、この連載で見つけてください!
教えて!青山せんせい 「何もしない」を遊ぼう!編
塾や習い事を早くから始めたほうが、子どもの能力を伸ばし、自己肯定感を高めるのに役立つ…そう思い込んでいませんか?
確かに間違いではないけれど、送迎や準備に時間をとられ、ゆったり過ごす時間が削られるのはもったいない。
外遊びが心地いいこの季節に注目したいのが、普段の何気ない遊びから伸びる、子どもが自分で育つための力。
今回は「何もしないことがカギ」になる、ちょっとした隙間の自由な遊びについて考えます。
それでは今回も…教えて!青山せんせい!
子どもの時間、埋まっていませんか?
「子どもに良かれと思って」
「あなたのために」
「成功体験をさせたら自己肯定感も上がるだろう」
「人よりも優れていたらきっと自信が付くだろう」
そう考えてついうっかり、習い事や塾を詰め込み、「子どもの時間」を埋めていませんか?
共働き、ひとり親、家族の送迎や家事……最近の親はみんな大忙しです。
すべて完ぺきにこなさなくてはならないと思っているかもしれませんね。

それは子どもたちも同じで、学童や習い事は、子どもを見守り、出会いを広げ、生活を支えてくれる大切な場になっています。
それも現代の親子には当たり前の風景かもしれません。
今回はみなさんの状況を十分理解しているという前提で、提案させてください。
毎日ではなくていいので、
たまには「少しの自由な時間」を 互いに用意しませんか?
習い事ではない「ただの公園での遊び時間」や「家庭での自由な時間」を用意してみませんか?
これらの時間の中で、子どもの中で塾や習い事で得るのとは別の力が育ち始めます。
とはいっても…“育ち”が芽生えるには時間もかかります。
たった一回では、正直難しいです。
でも根気よくやり続ける必要があります。
なぜ時間がかかるかというと…現代の子どもたちの多くは、ゲームや動画、親など、周りの何かに機嫌を取ってもらう方法しか知りません。
自分で自分の機嫌を取る方法を知らないということです。
とはいっても、本来は遊びの中で自然に育つものだから、本当は知らなくていいんです。
でも、今の子どもたちを取り巻く環境を見ていると、この “別の力”は育ちにくいだろうなって思います。
自由な余白の時間がこんなにもない中では、育つものも育たないんです。
「何もしない遊び」が、自発的な“育ち力”を支える
“遊び”といっても、先ほど言ったようなYouTubeやゲームではないんです。
自分でぶらぶらとしながら、自分の興味・好奇心を発揮させながら、出会うもの。
「何しようかな」で始まる行動の一部始終のことです。
習い事や先生と生徒という関係性の中では味わえない「遊び」の中にこそ、育つ力があるんですよね。
そういう時間こそ「自分の機嫌を取り」「自分の好奇心を探求し」「予測不能に向き合う」「自らを育てる時間」と私は呼んでいます。
だから、少しでいいから自由時間を用意してほしいのです。
子どもが自分の機嫌を自分でとり、自ら育つ力を発揮させるために、習い事や時間つぶしではなく、自分で自分を育てる時間を与えてほしいのです。
例えば公園遊びや自由時間には、台本がありません。
先生もいないので正解も存在しません。
だからこそ、子どもは自分たちでルールをつくり、役割を決め、トラブルを調整します。
転ぶ、やり直す、工夫する…この小さな試行錯誤が、
「考える→試す→直す」の循環を体に刻みます。
これは国語や算数の土台になる実行機能(集中・切り替え・自己調整)そのものなんです。
実は公園遊びや自由遊びって、学校の授業や習い事の“正解がある世界”とは少し違う「心のトレーニング」であるとともに、学び取る力の土台を作るんですよね。
とはいえ、現代の親子は忙しい。そこはもちろん理解しています。
毎日たっぷり時間を確保するのは難しい。
だから提案は現実的に…「ちょっとした隙間の自由な時間」だけで充分です。

・お風呂前の5分は“ぼーっとタイム”
・お風呂の中での“ぼーっとタイム”
・木々が揺れるのを観察する
・影で遊ぶ
…「何もしないから生まれる」遊びを子どもに、自分に、許可してみましょう。
「何もしていない」と、親は不安になります。
でも、この何もしない時間や、ただ単純に楽しく遊ぶ…その時間こそ、子どもが自由に心を動かし、考え、行動することこそ、子どもを育てるんです。
何か予定がある日も、余白を一瞬でも足せたら合格。
大人にできることは、安全を見守り、口を出しすぎないこと。
習い事の学びと、予定外の遊び。
両方がそろうと、子どもはぐっと“しなやか”になります。
「まずやってみよう」「相手と調整する」「自分の問題を解決する」「自らの問いを解決する」その力は、日々の小さな自由から育っていくと信じています。

「しあわせなおかあさん塾」青山節美さん(松江市)
親学ファシリテーターとして4,000人以上のお母さんたちと接する中で、「親が変われば子どもの未来は変わる」を理念に2018年同塾を開講、講座動員数は現在延べ1万人以上。
登録者数4.47万人(2025年10月末現在)を数えるYouTubeチャンネル「未来へつながるしあわせな子育て塾」でも迷える親たちへ具体的なヒントとエールを送り続けている。