「ここは神々の国の首都」~神在祭の出雲へ

旧暦の10月、出雲地方は「神在月」を迎えます。全国の神々がこの地を訪れて「神議り(かみはかり)」を開かれ、人があらかじめ知ることができない人生の諸般の事を決められると伝えられています。

かつてこの地を訪れた小泉八雲は、松江を「神々の国の首都」と感嘆の声を上げました。八百万(やおよろず)の神々がおわす出雲地方へ。神在祭が開かれる9神社の2025年の日程をご紹介します。

(日付は新暦/りびえーる調べ)

※祭事によっては一般に公開されていないものもあります。各神社、観光協会のホームページ等でご確認ください。

 

出雲大社(いずもおおやしろ)

出雲市大社町杵築東195【MAP】

20140930_不明_登録_稲佐の浜で執り行H_SS0850101G0100D

写真<稲佐の浜の神迎祭>(資料)

神在祭の前夜(旧暦10月10日)、国譲り神話の地・稲佐の浜では神迎神事が開かれる。神職らに迎えられた神々は大国主命が待つ出雲大社にご神幸され、翌日から神在祭が執り行われる。

〇神迎神事・神迎祭
 11月29日(土)19:00~
 場所:稲佐の浜(出雲市大社町杵築北)【MAP】
〇神在祭
 11月30日(日)9:00~(神在祭)
 12月1日(月)10:00~(月始祭・臨時縁結大祭)
 12月4日(木)10:00~(神在祭・縁結大祭)
 12月6日(土)10:00~(神在祭・縁結大祭)
〇神等去出祭
 12月6日(土)14:00~

 

佐太(さだ)神社

松江市鹿島町佐陀宮内73【MAP】

RR佐太神社

写真<神目山で神籬を乗せた小舟を浮かべ、神々の旅立ちを見送る>(資料)

佐太出雲国三大社の内の一つとして「佐陀大社」として称えられる。文献上最も古くから神在祭が執り行われ、約500年前の記録とほぼ同じ古式を残す。佐太神社に参拝した神々は、日本海が見渡せる神目山(かんのめやま)から舟に乗って旅立つとされる。
出雲地方の神社で唯一、年2回神在祭(神在裏月祭)を執り行う。

〇神迎え神事
 11月20日(木)20:00
〇神等去出神事
 11月25日(火)20:00
〇止神送神事
 11月30日(日)
※「神在裏月祭」(2026年は5月20日~25日)

 

万九千(まんくせん)神社

出雲市斐川町併川258【MAP】

R梅の枝で扉をたたH_SS5321601G0100D

写真<神等去出神事で梅の枝で扉をたたき、神々に出発の時を知らせる神職>(資料)

出雲大社をお立ちになった神々は万九千神社に移られ、締めくくりの神議りと直会(なおらい)を催される。旧暦10月26日には、翌早朝の旅立ちを告げる神等去出神事が執り行われ、神在祭を締めくくる。

〇龍神祭、お忌み入り
 12月6日(土)早朝 ※非公開
〇神在祭
 12月6日(土)~15日(月)9:00~16:30頃
〇前夜祭
 12月14日(日)
〇大祭(湯立神楽、神等去出祭)
 12月15日(月)
  ・大祭 9:00~正午頃
  ・湯立神楽 17:00~
  ・神等去出神事 18:00~

 

島根県内の神社の神在祭関連の祭事

朝山(あさやま)神社

出雲市朝山町404【MAP】

R絹垣で囲んだサカH_SS2461701G0100D

全国からお越しになった神々が出雲大社に向かわれる前に立ち寄られ、境内の「十九社」に滞在されると伝えられる。

〇神迎祭
 11月20日(木)15:00
〇神送祭
 11月29日(土)15:30

 

 <絹垣で囲んだサカキを運ぶ宮司や氏子たち>(資料)

 

熊野(くまの)大社

松江市八雲町熊野2451【MAP】

R熊野大社

『出雲国風土記』(733)に熊野大社、『延喜式神名帳』(927)に熊野坐神社と記載されて、平安初期に「出雲国一の宮」と位置付けられた。
明治時代の文献によると、江戸時代には旧暦10月11日に神在祭を行っていた。その後途絶えていたが2013年に復活した。

〇神迎祭
 11月29日(土)16:30
〇神在祭
 11月30日(日)14:00
〇神等去出祭
 12月15日(月)16:30

写真<「出雲国一の宮」と位置付けられる熊野大社>

 

神魂(かもす)神社

松江市大庭町563【MAP】

R神魂隠者

本殿は国宝に指定されており、現存する大社造りの社殿の内最も古いと言われ、意宇六社の一つに数えられる格式の高い神社。イザナミを主祭神とし、毎年11月11日に神迎えをする神在祭を「イザナミの供養」と位置付け祭事を執り行う。

〇神在祭
11月11日(火)~18日(火)

〇神迎祭 11日
〇神等去出 18日

 

写真<国宝に指定されている本殿>

 

 

日御碕(ひのみさき)神社

出雲市大社町日御碕455【MAP】

R日本海を背に、新H_SS1014101G0100D

『出雲国風土記』に「美佐伎社」と記される歴史ある神社。日本海の青、松の緑、朱色の建物のコントラストが美しい。
神在月になくてはならないのが、「竜蛇(りゅうじゃ)神」。毎年神在祭のころ、島根半島沿岸に打ち上げられるセグロウミヘビが「神の使い」と言われ、信仰を集め、日御碕神社など周辺神社に奉納されている。全国から集まる八百万の神々が稲佐の浜に迎えられたのち、神の使いと伝わる海蛇が神々を出雲大社まで先導すると言い伝えられる。
 

〇神迎祭
 11月30日(日)10:00
〇龍蛇神社祭
 12月3日(水)10:30頃
〇神送祭
 12月6日(土)10:00

 

写真<日本海を背に、新緑に朱塗りの社殿が映える日御碕神社>

 

多賀(たが)神社

松江市朝酌町970【MAP】

R多賀神社

朝酌の名は、神在月に集まった神が多賀神社で朝に酒を酌み交わしたとの言い伝えにちなむとされる。

〇神在祭
 11月25日(火)~26日(水)
 ※11月24日~26日早朝まで境内立ち入り禁止

写真<古墳の墳丘に登り、祝詞を上げる神職>(資料)

 

 

売豆紀(めづき)神社

住所:松江市雑賀町1663【MAP】  

R立ち寄った神々をH_SS3618701G0100D

売豆紀神社は、佐太神社(松江市鹿島町佐陀宮内)に集まる神々の通り道にあるとされる。主祭神で美しい女神と伝わるシタテルヒメノミコトの元に帰りがけにお忍びで立ち寄った神々に、正月までにはお帰り願いたいと神等去出祭を執り行い、20人ほどの「お立ち見届け立会人」がお立ちを見届ける。 

〇神迎祭
 12月3日夕刻
〇神等去出神事
 12月9日(水)17:00

写真<神等去出祭で神々にお帰りを願う神職>(資料)