創る◇◆◇和紙ちぎり絵作家 小田川 佳子さん【松江市】
2026.03.12
何度でも
見たくなる作品を
「和紙だけで、色は塗ってないんですか?とよく聞かれます」と優しくほほ笑むのは和紙ちぎり絵作家の小田川佳子さん。


作品を間近で見ても、和紙だけとはにわかには信じ難い色の表現に見入ってしまう。多くの人に和紙ちぎり絵の作品を見てほしいと県内外の公募展への出品も続け、2023年島根県総合美術展工芸部門では、島根工芸連盟賞を受賞した。自身の作品制作のみならず、「ちぎって貼る簡単な技法ででき、重ねるだけで巧みな色彩が生まれることなどの魅力を知ってほしいと、講師として制作体験や指導も行っている。


小田川さんが和紙ちぎり絵を始めたきっかけは、叔母で和紙ちぎり絵作家だった故粟谷典子さんのちぎり絵教室に入会したこと。叔母が作品を制作する様子を見ていて「和紙で絵ができるなんてすごい。和紙ってすごいと感動し、行ってみようと思った」という。「叔母は細かなことは言わず、できた作品を見て指導してくれた。おかげで自分で考える力がついた。こんなに長くやるとは思ってなかったが、四十数年続けられ、今では生きがいになっている」と話し、在りし日の叔母に思いをはせる。

もともと好奇心旺盛でさまざまなことに興味を持ち、テレビを見ていても、旅先でも、何をしていても「あっ」と心に響くものがあればメモする。スカイツリーと中秋の名月、松江城の石垣、生まれて初めてシャボン玉を見た孫の表情など、感動を作品に仕上げる。「自分が感動した気持ちをそのまま形に表すことができるのが面白い。何度でも見たくなるような作品ができるといいなと思う。もうこれ以上できないというところまでやって終わりにするが、好きだから「時間を忘れて朝まで制作することも」と笑う。


主に出雲民芸紙や土佐和紙、因州和紙、美濃和紙を使い、産地ごとの特徴を生かして制作するのが楽しい。和紙独特の長い毛足を生かしたり、思い通りの色が出るように重ねたり。表現したいように仕上げられる和紙との出合いを待つときや、逆に和紙からインスピレーションを受けることもある。「和紙にずいぶん助けてもらっている」

今後も「和紙の美しさや、表現の豊かさと可能性を多くの人に伝え、和紙ちぎり絵愛好者を増やし、次世代につないでいきたい。叔母に近づけるように精進したい」と、穏やかな話しぶりながら叔母からのバトンをつないでいく使命感を感じた。


プロフィール

おだがわ・けいこ 1952年生まれ。
83年叔母のちぎり絵教室で和紙ちぎり絵を始める。86年松江ちぎり絵教室に入会し、子育てや勤めをしながら制作を続け、退職後、全国和紙ちぎり絵サークル講師として各地で指導する。2018年から山陰中央新報社文化センター松江教室でも講師を務める。
3/26・28同文化センター松江教室で特別講座、5/20~24島根県立美術館で松江ちぎり絵サークル記念展を開催。松江テルサでは毎月第4月曜に講座を開催。
問い合わせは小田川さん(電話:0852-31-6172)へ。