まねのできない
個性あふれる形

トルコの伝統手工芸、イーネ・オヤ。縫い針と糸で作る縁飾りのことだが、シンプルな道具と材料、飾りのかわいらしさに魅了され、植物や魚介類など、誰にもまねのできないオリジナル作品をイーネ・オヤの技法を使って作り、アクセサリーなどに仕上げているのが作家のkedi(ケディ)こと藤原千恵美さん。

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イーネ・オヤとの出合いは、2016年。当時住んでいた益田市の図書館で、オヤの本をたまたま手に取った。「縫い針と糸だけで立体の花を作るなんて。何!これっ」と感動し、「なぜかこれをやろうと思い込んだと笑う。広島のNHK文化センターのイーネ・オヤ講座に通い、まず平面から習い始めたものの「全く歯が立たなかった」と振り返る。「こんなにできないなんて、うそでしょ」。驚きと負けず嫌いが発動し、諦めずに続けたところ、「ある日突然できるようになった」。

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文化センターの先生のトルコ行きに同行し、先生の先生らからも教わり、「オリジナルを作ろう」という思いが湧き、ネモフィラを制作。自分が想像した形が針と糸を使って実現することがこんなに面白いとはと、ますます夢中になった。

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藤原さんが心がけているのは、省略と強調。例えば日本スイセンやコスモスなど、その花に見える線と形があり、どこを省いてどこを強調するかを意識し、その花らしさを表現。思い描いた形が一度で出来上がることはほぼなく、試行錯誤を重ねて納得いく形を目指すが、完成にいたるまでの作品も「無駄なことは一つもない」と大切に保存。それらの過程を経て、時に、想像以上の形が現れる面白さを味わうこともある。

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糸は、トルコ製や日本製、素材もポリエステルやレーヨンなどさまざま。糸と会話しながら糸の個性を生かすことで表現の幅が広がる。


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初めて見たときの驚きと「これをやるんだ」という情熱が継続し、原動力となって今も創作が続いていることは「幸せなこと」としみじみ。

とても細やかで、すごいと思わずにいられないが、「きれい過ぎて機械みたい」との声にショックを受け、イカやタコなどの海の生き物や、山菜やキノコ、野菜などをモチーフにした、藤原さんならではのユニークな形を生み出した。かわいらしい花だけでなく、和みの笑い声に包まれるような愉快な形など、今後の新たな作品に寄せる期待は大きい。 

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1224_創る・藤原千恵美さん 制作中

プロフィール

ふじはら・ちえみ 1967年生まれ。
2016年、イーネ・オヤの本と出合い、広島のNHK文化センターのイーネ・オヤ講座で学び始めた。22年松江市内で開催されたハンドメードイベントに参加し、オリジナル作品を展示・販売。本格的に作家・kediとして活動を始める。現在は、身に着けて楽しんでもらいたいとの思いから、主にアクセサリーを中心に制作している。2時間無料で体験教室に応じている。
問い合わせはインスタグラム「@kedioyaoya2021」へ。
26年の「テワルサウィーク」に参加予定。