手挽きならではの
表情を生かして

1020_籠メイン

「自分でかわいいと思うもの、自分で持ちたいものをつくっている」と朗らかに話すのは、籐(とう)細工作家のmapica(ルビ・まぴか)こと藤田真理さん。同じ編み方でも編み柄の大きさを変えることでふくらみを持たせたり、直線的に仕上げたり、さまざまな編み方を組み合わせたりして、多様な造形を生みだしている。「無心で編めるところや自分で思ったように形が出来上がるのが魅力」と笑顔が浮かぶ。

1020_籠 横長布あり
1020_籠 花柄布あり

子どものころからものづくりが好きだった藤田さん。洋裁をしていた母から端切れをもらって人形の洋服をつくったり編み物をしたり。高校卒業後は専門学校で洋裁を学んだ。

1020_黒布ワンピ

2018年、子育てや介護も落ち着き、何かものづくりをしたいなと思っていたところ、出雲かんべの里(松江市)でかごが編めると知り、「編んでみたい」と早速体験すると「楽しくてハマった」。今では、松江藩籐細工6代目長崎誠さんの弟子として、かんべ教室の指導助手も務める。

1020_花かご小

松江藩籐細工の作法にのっとって長さが4mもある丸籐(まるとう)を割り、小刀で手挽(てび)きして材料を準備することから、編み込み、タグづくりまで全て自分で手がけている。

1020_飾り横並び
1020_白茶 横長籠

自然な艶があって好きだという皮籐(かわとう)(皮の部分)は硬くて扱いが難しいが、「難題をクリアしていく楽しみがある」と乗り越えるたびに達成感に包まれる。太さや厚さ、角を生かしたり削ったり、イメージ通りの材料が準備できるのは手挽きならでは。シンプルな平編みも、厚みのある材料で編めばでこぼこが強調されて、より豊かな表情に仕上がる。

1020_追加分_白布
1020__追加分_白かご
1020_巾着かご

作品はバッグやアクセサリーがメイン。花かごなどは、籐の黒くなっているところが味になるが、バッグやアクセサリーでは、黒い部分は取り除き、特にきれいに仕上げることに気を配る。洋裁の技術を生かして、かごバッグの内布も制作。使い勝手がいいようにポケットをつけるなど、工夫する。

1020_ブローチ

1020_アクセサリー
1020_追加分_指輪

22年からは自身の教室を始め、生徒一人一人の要望に応えるため「私も勉強になり、成長させてもらっている」。籐細工を習い始めたころはただ楽しく、技術が上達するにつれ、もっといいものを、もっときれいに作りたいとのめり込んでいったが、今は教える楽しみも加わった。

1020__追加分_黄色布ワンピ
1020_追加分_外 籠
1020__追加分_白シャツ

「籐の良さを多くの人に知ってほしい」と、指導にも力を注ぎながら、松江藩籐細工を学んだ藤田さんならではの端正ながらもかわいい籐作品を丁寧につくり続けていく。

1020_籐の椅子
1020_籠 花

1020_追加分_野菜

 

プロフィール

1020_藤田さん

ふじた・まり

1964年生まれ。
2018年に出雲かんべの里で松江藩籐細工6代目長崎誠さんに師事し籐細工を習い始め、22年からはmapicaとしての教室を開く。現在は自身の教室で指導するほか、長崎さんのかんべ教室で指導助手も務める。24年には島根県総合美術展工芸の部で銅賞受賞。作品の取り扱いは、いろは舎(出雲かんべの里内)、ローカリズム(一畑電鉄出雲大社前駅内)。問い合わせはインスタグラムDMで(「@mapica822」で検索)。