和ハーブとは、多くの一般的な野菜を含め江戸時代以前から日本にあり、人が食や暮らしの中で使ってきた植物のこと。
同店では近隣でとれた野菜や、ヨモギやドクダミといった身近な植物まで、料理やお茶などで楽しませてくれる。
予約制のランチ(1,500円、写真)は、季節野菜をたっぷり使ったメインのビビンバと一品料理、スープのセット。
ビビンバには、和ハーブで香りづけしたルーロー(豚肉の煮込み)を中心に、さまざまに味付けされた7~8種類の総菜を盛り合わせ、実にヘルシー!
小松菜と山椒(サンショウ)のナムルや切り昆布と切り干し大根のキムチなど、日によって何が味わえるか楽しみ♪
使う野菜も時期によってさまざま。
「住む土地で取れたものが最も食べる人の体に合う」という観点から、できるだけ地域の農家が作っているものを使いたいと、“有機”や“無農薬”には強くこだわりすぎず、栄養バランスをとることを心がけているそう。
主菜がビビンバということもあり、のせる総菜の味付けは韓国風がベースになるが、野菜の味を引き立てるため和・洋・エスニックと縦横無尽。
店内のそこかしこで、採取・乾燥中の和ハーブが活躍するときを待っている。
中には、これはヨモギかな?…と見覚えのあるものも。
「どれももともと、身の回りにある慣れ親しんだ植物。ここでは料理を入口にして、その有用性を伝えたいと思っています」と店主の朝枝さん。
ふんわりとした雰囲気だが、山登りやキャンプが好きで、「狩猟採集」が自身のテーマの一つという行動派。
安来市で生まれ育ち、もともと植物に興味があったことから環境問題を学ぼうと農学部へ入るも、身近な草花の魅力に改めて気づき、和ハーブの世界へ。
取材時、ほんのりと甘みを感じるハーブ茶に合わせて出していただいたのは、ドクダミの入ったクッキーだ。
ドライ葉入りと生の葉入り、2種類をそれぞれ口に運ぶと、思いのほか違和感はなく…むしろおいしい!
風味の違いに気づくと、「ドクダミの香りの元は揮発性なので、乾燥が進むと独特の匂いが飛ぶんです」と教えてくれた。
ちなみに春に新しく伸びる白く柔らかい根っこは、葉っぱと共に食べられるのだそう。
「エスニックな味付けで炒め物にするとおいしいですよ」と聞くと、厄介者のように扱われるドクダミが、がぜん輝いて見えてきた!
国道から少し入った静かな集落の民家を改装したどこか懐かしい店内では、窓から見えるのどかな風景にも癒やされる。
身近な植物が思わぬ美味に変わるワクワクを、ぜひ体験して!