もっと話そう! 認知症のコト vol.4


2040年、65歳以上の3人に1人は認知症か軽度認知障害(MCI)に?

 9月21日は、国際アルツハイマー病協会(ADI)が世界保健機関(WHO)と共同で制定した世界アルツハイマーデー。
 厚生労働省が2024年5月に発表したデータでは2040年には国民の3人に1人程度が認知機能にかかわる症状があることに。
 認知症と共に生きていく時代、もっと話して理解を深めていきましょう!


認知症の基礎知識

 認知症にはさまざまな種類があります。脳内のどこに影響が出るかで症状が違い、いくつかの症状を併せ持つ「複合型」も

認知症の前段階とされ、軽度の認知機能低下があっても日常に支障がないMCIや、65歳未満で発症する若年性認知症も知られるようになりました。

認知症の種類と症状

 認知症による物忘れは、夕食に「何を食べたか」ではなく、食べたかどうかを思い出せない点で加齢によるものと異なります。予定が覚えられなくなったり、料理に手間取るようになった、事故など車のトラブルが増えた…なども早期発見のポイントです。

 「最近ちょっとおかしいかも?」と真っ先に気付くのは、実は周囲より自分。初期にはもの忘れなどがほとんど目立たない場合があります。
 次のチェックシートなども参考に、気になるときは先に延ばさず、遠慮なく相談機関へ連絡してみましょう。現状を把握して、どのような支援が適しているかを専門スタッフと一緒に検討できます。若年性認知症に関しては、専用の相談支援センターで就労支援の相談もできます。

 適切なサポートを受けながら働き続けたり、これまで通り暮らしている人も多いので、不安になりすぎないで。

認知症チェックリスト

★仕事や生活の場面での変化
□スケジュールの管理が適切にできない
□仕事でミスが目立つ
□複数の作業を同時並行で行えない
□段取りが悪くなり、作業効率が低下する
□取引先との書類を忘れるなど、もの忘れに起因するトラブルがある
□物を探していることが多くなる
□降りる駅・バス停を間違える
□服の組み合わせがおかしくなる
□家族との会話中、意味を間違えて険悪になる
□お金を無計画に使うようになる

★うつや体調不良と間違われやすい症状
□夜眠れない
□やる気が出ない
□自信がない
□運転が慎重になった
□趣味への関心が薄れた
□頭痛・耳鳴り・めまいがする
□イライラする
□考えがまとまらない

 

予防についても知りたい!

 認知機能を維持するために、運動や食生活の改善、生活習慣病や難聴の予防・管理、社会参加などを組み合わせて継続することが有効とされています。もっと簡単に、いつも行かないスーパーで買い物したり、普段着ない服を着てお出かけやおしゃべりをしたり…ちょっとした挑戦や発見にワクワクすることでも十分です。

 特に「会話」は脳だけでなく、口のフレイル予防にもなり一石二鳥。社会とつながり続けることが症状の進行を緩やかにします

理解したい! 新しい認知症観

新しい認知症観

 「認知症になってからも一人ひとりできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間とつながりながら、希望をもって自分らしく暮らし続けることができる」という新しい認知症観が広がっています。
 年齢を問わず誰もが正しい知識を持ち、先入観にとらわれず、自らも備えておくことが重要です。


症状を抑えるカギ! BPSD(行動・心理症状)について知ろう

どうして財布をとったっていうのしまねの地域包括ケア「どうして財布を盗ったって言うの?」~認知症の朝子さんと家族のお話~/島根県
漫画/北川なつ 
制作協力/エスポアール出雲クリニック院長・精神科医 高橋幸男先生

 認知症当事者を含む3世代家族を優しいタッチで描いたマンガ「どうして財布を盗ったって言うの?」では、当事者との関わり方のヒントや、新しい認知症観について学ぶことができます。

「周囲の対応が変わると、一人歩きや妄想などの症状を改善できることがある」という内容には驚き。制作協力のエスポアール出雲クリニック・高橋幸男先生にお話を聞きました。

 

「関わり方」に症状改善の可能性がある

 実は、暴言や暴力、「物を盗られた」といった妄想、一人歩き(徘徊)などは、認知症の直接の症状ではなく二次的なもの。

記憶障害や、順序だてがしにくい実行機能障害、時間や場所がわからなくなる見当識障害といった中核症状に、患者自身の不安や孤独、周囲の叱責や役割を取り上げるなどの誤った対応が複合的に影響し、いらだちや混乱からくる暴言・暴力、自己防衛からくる妄想が現れやすくなります。

これらをBPSD(行動・心理症状)と呼び、本人の不安を取り除く対応に症状を改善する可能性があることがわかっています。


BPSDを和らげる「3つの提案」

 認知機能が衰え、状況理解が難しくなると、人は言葉以外の情報に敏感になります。また患者さんは想像以上に不安や緊張、孤独を感じています。ちょっとした注意や表情、身振りも、患者にとっては強い非難となり、BPSD症状につながることも。まずは、次の3つのことを心がけてください。

★意識して「ありがとう」と感謝を伝える
★返事がなくても、伝わっているという思いで笑顔で話しかける
★間違いや失敗への指摘を減らす

 もちろんうまくいかないことはありますが、当事者を孤独にしないことが最も大切。この心がけで本人の表情が和らぎ、結果として家族にも笑顔が戻る例をたくさん見てきました。

 

高橋先生から読者に伝えたいこと

 認知症はもともと「長生きすれば認知機能の衰えは自然なこと」と寛容に受け止められていましたが、偏った情報とライフスタイルの変化が影響し、「認知症になると何もできなくなる」という誤認が広がりました。ここにBPSDが起こる一つの要因があるように思います。

 誰にでも起こることとして認知症への理解を深め、適切な対応を知って、誰もがありのままの姿を認め合えるといいですね。

 

作品を通して認知症を理解する!
映画「オレンジ・ランプ」上映会開催

 島根県では、認知症について多くの人に知ってもらう目的で、各市町村と連携して映画「オレンジ・ランプ」の無料上映会を実施。県内各地で開催されるので、近くの会場にぜひ足を運んでみて!

Rオレンジランプ

【作品紹介・あらすじ】
 39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された丹野智文さんの実話をもとに描かれた、夫婦の希望と再生の物語。

 妻・真央や2人の娘と暮らす39歳の只野晃一は、充実した日々を送るカーディーラーのトップ営業マンだが、顧客の名前を忘れるなどの異変が訪れる。下された診断は「若年性アルツハイマー型認知症」。不安に押しつぶされていく晃一は、とうとう退社も決意。心配のあまり何でもしてあげようとする真央。しかしある出会いがきっかけで二人の意識が変わる。「人生を諦めなくていい」と気づいた彼ら夫婦を取り巻く世界が変わっていく…。

監督/三原光尋 出演/貫地谷しほり、和田正人ほか

主人公モデル・丹野智文さん…自動車販売会社でセールスマンとして活躍していた39歳で、若年性アルツハイマー型認知症と診断される。診断後は事務職に異動、勤務を続けながら、不安を持っている当事者のためのもの忘れ総合相談窓口「おれんじドア」を地元の仲間とともに開設。自らの経験を語る講演活動にも力を入れ、「できることを奪わないでほしい」こと、「本人だからできることがある」ことを社会に発信している。


【上映スケジュール】各地域の上映会実施予定は島根県ホームページでご確認ください。

 


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