ばけばけ日記

 

寒さが遠のき人や動植物のうごめきを感じ取れる季節になってきました。陽光に誘われ松江を散策してみませんか。折しも明治の松江を舞台に、文豪ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と妻セツをモデルにしたNHK連続テレビ小説「ばけばけ」が、放送されたばかり。ドラマ全125話の進行に合わせ山陰中央新報デジタルの「ばけばけ日記」を執筆した、板さん(ペンネーム)が改めて松江の魅力を語りました。

ばけばけ日記_板さん

 

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ばけばけはヤマ場を迎えると水の都・松江の美しさを生かしてくれて、うれしくなりました。宍道湖、大橋川の情景ですね。

対して松江のもう一つの性格である城下町の描写は控えめだったと思います。象徴となる松江城(松江市殿町)が、画面で鮮明に見えないようになっていました。それもそのはず。小泉八雲が松江に来た1890年頃の城は解体こそ免れたものの、廃虚のような状況でした。

 

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八雲も名著「知られぬ日本の面影」で松江城をこのように書き残しました。〈全体の姿は異様ないかめしさをたたえているが、その細部も手の込んだ奇怪な造りを見せている。まるで巨大な仏塔が二層、三層、四層と、自らの重みで徐々に押しつぶされた格好だ〉

 

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江戸時代の遺物に対する貴重な証言で八雲の細かい描写にうならされます。明治維新の混乱により、なかなか手が回らなかったのでしょう。城は八雲が松江を去った後の1894年と、1950~55年の大規模修理を経て今の姿があります。  
2027年度から再び3年間の大規模修理に入る予定なので、ぜひ今のうちに見ておきたいですね。

 

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ばけばけの主人公・松野トキのような旧士族はもういませんが、今も武士たちの息づかいを感じ取れる場所があります。松江城から徒歩10分程度離れた場所にある茶室・明々庵(松江市北堀町)。大名茶人で知られる、江戸後期の松江藩主・松平不昧(ふまい)が造らせました。

 

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茶の湯は武士のたしなみでした。不昧は藩内で菓子や陶器など茶に関する品々を指図して作らせました。上品でやや控えめな仕上がりを志向したようで、それらは「不昧公好み」として今も、松江の美意識の中に生きています。

不昧の死から72年後に松江に来た八雲。水辺や城下町の景観、さらには町に残る不昧の威光をどう感じ取ったのかを想像し、明々庵近くにある小泉八雲記念館や小泉八雲旧居に足を運ぶと、印象もまた変わるかもしれません。

 


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